「明石焼きを食べたい」の思いに寄り添って

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患者さんのAさんは、他院から転院され、予後を当院で過ごすことを目的に入院されました。


人工呼吸器は、前院で装着されましたが抜管できず、嚥下機能の悪化に伴い経口摂取が困難となり、経鼻から栄養を注入していました。


最初はレベルⅢ桁で意思疎通も困難な状態でしたが、転院後、人工呼吸器と上手く同調することで呼吸状態も落ち着き、レベルも改善、毎日面会に来る奥さんとも筆談でコミュニケーションが図れるまでになりました。

そんな中、経口摂取が困難であるということはAさん本人には理解できず、食べたいという思いを奥さんや看護師に強く主張するようになりました。



その姿から何とか経口摂取ができないかと考え、診療マネージャーはじめ言語聴覚士や先輩看護師の方々に協力していただきながら、嚥下訓練を進めていきました。



最終目標を、Aさんが希望された「明石焼き」とし、嚥下予防を進め、ようやく昨年の11月中旬に数口ですが明石焼きを食べていただくことができました。

Aさんは満面の笑みを浮かべ、

「美味しい 美味しい」

と口パクで言っておられ、その姿を見た奥さんの顔にも笑みがこぼれていました。


その後、人工呼吸器を装着しながらの散歩や病棟のクリスマス会も鑑賞していただきました。

人工呼吸器を看護師になってから初めて触れ、最初は恐怖や不安もありましたが、先輩方や多職種の方々の協力でAさんとご家族に関わらせていただき、とても貴重な体験ができました。


日々の忙しい業務の中で、なかなか患者様の声に寄り添うということが難しくなっていますが、改めて看護師として患者様を看護していく上で“患者様の思い”を大切にすることが大事であると感じました。


(2年目看護師 T)

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