あったかい下町の認定看護師さん♪

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みなさん、こんんちは☆

今回は、長田区の下町にある神戸協同病院で認定看護師として活躍するナースを紹介します!
看護学生向けの情報誌に投稿・掲載された記事をぜひご覧ください(^_-)


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看護学生のみなさま、はじめまして☆

神戸医療生活協同組合・神戸協同病院の4階病棟で勤務している井上朋美です。

私は、2016年に慢性心不全看護認定看護師を取得しました。まだ認定看護師としての看護活動はできていませんが、せっかくなので心不全にまつわることを書いてみようと思います。

心不全ってどんな疾患?

心不全は急性増悪し、再入院することが多い疾患です。そして、心不全には原因疾患または増悪因子があります。

医学的因子は心筋虚血・不整脈・貧血・感染症など、生活上の問題は塩分や水分制限の不徹底・治療薬服薬の不徹底・過労(過活動)などがあげられます。

当院にも、入退院を繰り返される患者様が何人もいますが、その中のひとりに、昨年3回、今年も10月時点で3回入院されているAさんについて、少しご紹介します。

心不全ってどんな疾患?

Aさんとのかかわり

後期高齢者のAさんは一人暮らしで、疾患名は慢性心不全の他にも、糖尿病・慢性腎臓病・喘息などがあり在宅酸素療法もされています。
Aさんは、以前は別の病院に通院していましたが、食事水分の管理ができず、「これ以上体重がオーバーするともう診察しない」と前医に言われたそうです。
食べ過ぎ飲み過ぎが原因であることはAさん自身も理解されており、前の病院にはかかれないと言われ、当院に入院・通院されるようになりました。



たしかに、Aさんは入院中も水分制限が守れず、ジュースを飲まれている姿を目撃されていました。
しかし、Aさんの生活状況をお聞きすると、エレベーターのない住宅の4階に住まれており、買い物やゴミ捨てなどすべて一人で行っていたAさんには、過活動という増悪因子も考えられました。
Aさんの負担を軽減するため、昨年入院中には在宅調整を行い、まずはコープさんの個配の利用、訪問介護を導入してゴミ捨てや買い物の負担を減らしました。それでもAさんは体重増加を認め、心不全増悪で再入院となりました。



Aさんに生活状況を振り返っていただくと、「個配で買い物は楽になったけど、ついたのみ過ぎてしまい食べ過ぎになってしまった」と言われました。
Aさんは倦怠感や下肢浮腫の自覚症状には気付いており、いつも軽症の段階で再増悪の診断があり入院されるので、利尿剤での治療と病院食による食事療法・水分制限で、すぐに心不全は改善します。



そんなAさんには、実は完全房室ブロックという不整脈もありました。
Aさんの脈拍は30~40回と、かなりの徐脈です。毎回入院するたびにペースメーカーの治療について検討されますが、Aさんはアダムス・ストークス発作を起こしたことがなく、ペースメーカーには消極的で、これまでは見合わされていました。
しかし、入院生活を続けてもBNP値もなかなか正常範囲には戻らず、今年に入りついにペースメーカー埋め込み術を受けられました。
これでAさんの心不全の原因疾患のひとつであった不整脈が、増悪因子から除外されました。
訪問介護で、ある程度の過活動もカバーできます。
感染症や脱水などを発症しない限り、Aさんの増悪因子は食生活に関わる部分の比重が大きくなりました。



ペースメーカー埋め込み後、約1か月でAさんは再入院されましたが、「自宅のクーラーが故障し暑くて体力の限界」と言われ、夏ごろに1か月間入院されました。
その時も、体重は少し増加しており、ごくわずかにうっ血もあり、脱水というよりは食生活の影響はあったと思います。



慢性心不全は、普段の体重より2kgオーバーすると、急性増悪の徴候で受診の目安と言われています。
今回の入院中も、毎日起床時に体重測定を行い、退院時にはこのベストな体重を保つようにとお伝えしました。
今度、もしAさんが再入院された時には、どんな関わりが必要なのか、Aさんと共に生活状況を振り返り、Aさんが実現できる内容を探りたいと思います。


患者さんに寄り添うとは

このように、心不全の増悪で入院しても、治療が終わればそれで看護も終了ではなく、今回の再増悪の原因は何になるのか、それが生活上の問題なのかをアセスメントすることが大切です。


もし生活への改善点が必要であれば、教科書通りの指導を行うのではなく、患者様の理解度や性格や家族構成、どんな家に住んでいるのか、毎日どんな物を食べどんなことをして生活しているのかなど、生活背景を十分に知り、実践可能な改善策を患者様と共に見出すのが看護師の重要な役割です。


また病棟看護だけにとどまらず、外来看護師・訪問看護師・ケアマネージャーなど、患者様に関わる全てのスタッフと情報共有し連携する必要があります。


もし患者様が再入院しても、「また来たの?」という心無い声かけを行うのではなく、私たちの関わりはまだまだ患者様にはひびいてない証拠と受け止め、もう一度患者様と生活状況を振り返る中で、自分自身も次につなげることができる関わりを目指したいと思います。


患者さんに寄り添うとは

↑井上ナース☆
「地域で増えつつある心不全の患者さんが、住み慣れた地域で過ごしたいという思いに寄り添う看護を」
と、地域医療の最前線で、ママさんナースとして奮闘中ですヽ(^o^)丿

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