私たちの看護のたからもの

Appeal Point 01「住み慣れた家に帰りたい」の
願いをチームでサポート

在宅支援は私たちの得意分野です。ADLが低下して元の生活に戻るのが困難と思われる患者さんでも、簡単にあきらめるのではなく、患者さんの思いに寄り添い、多職種で連携して知恵を出し合い実現させます。「自宅で元気にしているよ」と笑顔を見せてもらえることが私たちのよろこびです。

全盲のAさんは、伝い歩きがどうにかできる状態で、介護サービスを使いながら独居で生活されていましたが、体調を崩し食事がとれなくなったことで急激にADLが低下し、全身管理とリハビリ目的で入院しました。ベッドから起き上がることもできなくなっており、当初は、在宅生活は限界との声が聞かれていましたが、Aさんにどうしたいのかを聞くと、「そら家に帰りたいに決まっとる」「好きな時間に好きなことできるやんか、食べたいもんも食べれるしな」と。
本人の意思がはっきりしていたので、私たちは院内外の多職種でのカンファレンスで、在宅に向けての話し合いを始めました。以前のADLに戻ることはかないませんでしたが、ヘルパーや訪問看護の支援を受け、市営住宅へ転居も決まり希望通りの在宅生活を継続しています。

簡単に「無理」とあきらめるのではなく、患者さんが主人公であることを忘れずに、「患者さんの要求から出発する」ことをこれからも大切にしていきたいです。

Appeal Point 02ゆずれないポリシーは
「いのちの平等」

若い患者さんが入院されたときのことです。
率直に費用のことを話され、もし負担が多くなるのなら退院したいと言われたので、医療ソーシャルワーカー(MSW)と相談しました。
病気になってから収入がまったくなく、蓄えを切り崩しながら療養されていました。
この患者さんの置かれている状況を考えて、「無料低額診療」の対象となることがわかり、さっそくその手続きをし、入院の費用の心配や退院後の往診などの負担への不安を解消することができました。
日頃の患者さんやご家族様との話の中から、アンテナを高くして気づかなければならないことが多くあります。
幸いなことに、私たちの病院は患者さんたちの経済的な心配を少しでも減らすための努力を行ってきました。「無料低額診療事業」もそのひとつです。

私たちは、お金のあるなしで提供する医療・看護に差別をしないことを誇りにしています。
回復リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、一般病棟の個室や緩和ケア病棟は全室個室ですが、個室料金をいただいておりません。この病院ができてから先輩たちの苦しい経営事情の中でもずっと守ってきた信念です。
個室を提供するのは、“終末期の患者さんが、気兼ねなく家族との時間を過ごしてもらえるように”、“化学療法治療中、感染予防の観点から個室管理が必要な患者さんのため”、“手術後の経過観察の必要な患者さんのため”など、医療・看護上必要な患者さんに優先して使用していただいています。
個室への転室のお話をすると、「お部屋代がかかるので・・・」と心配される方もいますが、「大丈夫ですよ、安心して治療を受けてください」というと安堵されます。私たちにとってはあたりまえの、「差別のない医療・看護の提供、いのちの平等」は、これからもずっと守っていきたい大切なことです。

無料低額診療って……?

無料低額診療事業は、生活困難な方が経済的な理由によって、必要な医療サービスを受ける機会を制限されることのないよう、無料または低額な料金で診療を行うもので、社会福祉法に位置づけられている事業です。それぞれの医療機関独自の努力で可能な事業です。

Appeal Point 03人情味あふれる、
あったかチーム医療

私が子宮癌末期の70代のIさんと話していた時、Iさんが初めて「もう一度家に帰りたい」と言われました。ご自分の予後を考えられたのだと思います。モルヒネの持続皮下注射を行い、これまでの治療や癌の進行により、子宮、腸管や膀胱、周囲の皮下に瘻孔形成していて処置も多く、日常生活の全てにおいて介護が必要な患者さんです。“難しい”希望ですが、聞き過ごす事は出来ませんでした。すぐに先輩看護師に伝えました。「よく聞いてきた!無理じゃない!どうしたら叶えられるか、みんなで考えよう!絶対叶えよう!」と即答してくれ、主治医はじめ他職種含めスタッフを集めてくれました。この方法はどうか、こうしたらもっと良いのではないか、この組み合わせはどうかなど、たくさんの意見が出され短時間で外泊プランが立ちました。ご家族様にも十分な説明を行い、プランに納得いただき協力していただけることになりました。そして外泊当日、患者さんは「いってきます」とピースサインと笑顔で病棟を出発。外泊中は病棟スタッフが訪問し、2泊自宅で過ごすことができました。患者さんは、「帰れてよかった。ありがとう」と手を合わせられました。外泊から戻られた翌日、意識レベルが低下。その後旅立たれました。ご家族様からは「お母さんの気持ちを知っても、あのまま帰らずに病院で亡くなったら、私はこれから後悔しながら過ごしたかもしれない。帰れてよかった」と言葉をいただきました。(この患者さんは、ご自宅が病院のそばであったことやご家族様が交代で24時間付き添えたことなど条件がありました。)

何通りもの解決策は、1人で考えられるものではなく、患者さんを中心とし医師や看護師、その他、他職種スタッフが1つのチームになることが必要で、チーム力なしでは良い医療や看護は提供出来ないことも実感しました。患者さんの一言から行動することの大切さや、どのような状況でもチーム力が最善策を見つけてくれることを感じました。患者さんの思いを1番に考えられるようになった時、自然に想いを伝えられるようになったことや、チームがあるから実践できることに気付きました。

看護師個々の看護力や他職種のチーム医療への意識も高く、常に患者さんご家族様中心に事が進みます。患者さんご家族様が良い時間を過ごせるようにと考え、病室に足を運びます。
スタッフ皆、患者さんご家族様第一に思い、カンファレンスも1日のうちに頻回に行っています。その中で患者さんにとっての最善策が見え、いくつもの医療・看護をタイムリーに提供しています。

※緩和ケア病棟では、医師に加え、担当看護師(患者さん1人に対し主となる看護師が1人担当させていただいています)他、管理栄養士・薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・ケアワーカー・MSWなど他職種含め、一丸となりチーム医療を行っています。

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